わいはわいわいでいいわい

※全てフィクションです

フランスのビザを取った話

前説

先日、フランス大使館からビザが貼られたパスポートが届きました。ビザ取得に関わる書類を集め始めてから約6ヶ月が過ぎようとしています。6ヶ月です。本当に長くて、大変でした。その長い過程について書きます。

🚨前提🚨
ここで書かれている一切の情報は私が調べ、理解し、咀嚼した上で、口語表現されているものです。私の認識が間違っている可能性があります。またビザ関連の手続きは時勢によって変わる場合もあるので、この記事中の全ての情報について、私はその真偽を保証しません。 正しい最新情報は、ビザの手続きに関わる各公式サイトなどから得るようにしてください。

Youはどうしてフランスに?

基本情報として、私の状況を少し書きます。
私は修士課程に在籍する大学院生です。2023年3月に卒業する修了予定でしたが、興味のある研究分野の研究インターンシップ(6ヶ月)の応募を偶然Twiiterで見かけたことをきっかけに、修士課程の修了を1年延期して、そのインターンシップに参加することにしました。そして、インターンシップを募集していた研究室が偶然フランスの研究室だったというわけです。

ビザ取得への道

主な流れ

ビザ取得までの主な流れは次の通りです。
1. France-Visas(後述)のアカウントを作る。
2. France-VisasのVisa Wizard(後述)で自分の渡航目的にあったビザの取得に必要な書類を調べる。
3. フランス大使館への申請日を予約する。
4. 必要書類を準備しつつ、ビザ申請書(後述)を作成する。
5. 必要書類と申請手数料を持って、フランス大使館に行き、手続きをする。
6. 審査終了次第、ビザが貼られたパスポートが郵送される。

個人的に難しいなと思うのは、フランス大使館への申請日を予約するタイミングです。フランス大使館の予約はかなり埋まっているようで、私の場合は1ヶ月先まで埋まっていました。

ビザ申請は少なくとも出国予定日の1カ月前までに行うことを強く推奨します。長期ビザ申請はフランス入国日の3カ月前から可能です。短期ビザ(シェンゲンビザ_の申請はフランス入国日の6カ月前から可能です。入国日より2週間を切ったビザ申請は、発給可否決定が入国日の後に決定する可能性があります。(フランス大使館公式サイトより引用)

また予約を取った時、予約票や番号だけではなく、必要書類のチェックリストもダウンロードするようにしましょう*1

全ての書類が集まっていなければ、大使館に行っても意味がないし、書類を集め切ってから予約すると、書類はあるのに大使館の予約が1ヶ月先...みたいなことにもなるので、Visa Wizardで必要な書類を調べ、それらを集めるのに必要な時間を概算した上で、予約を取るのが良いのかもしれません。が、初めてビザの申請をする人にとっては難しいと思います。

またビザの審査にも時間がかかります。どれくらいかかるかは示されていませんが、いくつかのサイトと自分の場合を考えると、問題がなければ大体10-14日くらいで発給されるようです。

ビザの種類と必要な書類

私の場合、研究室での研究インターンが目的の渡航なので、インターン用の長期学生ビザ?が必要だったようです。渡航目的に応じてビザには種類があるのですが、滞在期間の長さで大きく大別されているようで、Long-stay(90日以上の滞在)Short-stay(90日未満の滞在)Airport transit(飛行機を乗り継ぐための滞在) に分けられるようです。そこから目的によって、細分化されるというイメージです。

自分の渡航目的にあったビザの申請に必要な書類の準備は、主にFrance-Visasで行います。France-Visasは、ビザ申請準備を担うフランス政府の公式サイトです*2
France-Visasでは、Visa Wizardというサービスが提供されており、氏名、年齢、国政、希望する滞在期間や滞在目的などの項目を埋めていくと、自分の渡航目的に合ったビザの申請に必要な書類の一覧を提示してもらえます。

Visa Wizardで表示された必要書類(渡航目的や個人の状況によって異なると思います。)
私の場合、学生の長期研究インターンだったので、次の書類を求められました。書類は全て英語かフランス語で翻訳されたものでないといけません。

  • A travel document (パスポート)
  • ID Photograph (証明写真)
  • Internship agreement signed by the French administration (インターンの契約書)***3
  • Funds (滞在期間中の経済証明)
  • Accommodation (滞在先の住居証明)
  • Travel health insurrance (海外健康保険)

これに加えて、ビザの申請書が必要です。

A travel document (パスポート)

長期滞在の場合(Long-stay)、少なくともパスポートの有効期限が3ヶ月以上あるものなど、いくつかの条件があります。申請の時には、ビザが貼ってある全ページのコピーを提出する必要があります*4

ID Photograph (証明写真)

証明写真だけを提出するのではなく、ビザの申請書に貼るための証明写真です。

Internship agreement signed by the French administration (インターンの契約書)

私の場合、労働条件(インターンの期間やお給料、有給休暇など)が記載された書類に、受け入れ機関の責任者や受け入れ研究室の先生、日本の大学院の研究科長、日本の研究室の先生など署名がされたものがインターンの契約書でした*5

Funds

滞在期間中に最低限必要なお金(615€/月)を銀行口座に持っていますよ、ということを示すために必要な書類で、銀行で作成してもらえます。残高を表記する通貨単位は円でも大丈夫です。例えば、ゆうちょ銀行では、円か米ドルかのどちらで表記するかを選択できます*6

Accommdation (滞在先の住居証明)

フランスでどこに居住するのかを証明する書類のことで、アパートの契約書やホテルの予約票などが該当します。また滞在期間中に複数の場所に滞在する場合、各滞在先の書類が必要になります。私の場合、入国数日はホテルに、その後、学生寮に入ることになっていましたが、学生寮の契約がビザの書類提出日に間に合っておらず、帰宅後に契約を完了し、その契約書を大使館に提出しました*7

Travel health insurrance (海外健康保健)

海外で怪我や物損をした場合のために、保険は必ず入っておく必要があります(おそらくインターンの契約を結ぶために必要になるはず...)。その契約を示す書類を提出します。一般的には、加入証明書*8がそれに該当し、保険会社に依頼することで郵送してもらえます。ただし、依頼・作成・送付に時間がかかるため、余裕を持って用意する方が良いと思います*9

France-Visasでのビザの申請書の作成

上記の書類以外に、ビザの申請書を作成する必要があります。 これは名前や住所、電話番号、パスポート番号、目的など申請者の基本情報を記載するものです。いろんなサイトを見ていると、少し前までは手書きだったようですが、今はFrance-Visasのサイトで必要項目を埋めていくと、その内容が反映された申請書のPDFが出力できるようになっており、これを印刷して上記書類と合わせて提出します。
申請書作成までの手順を簡単に説明します。まず、Visa Wizardで申請に必要な申請書類を確認し、右下にあるSubmit online application をクリックします(1枚目の画像参照)。すると、My accountのログイン画面に飛びます(もしアカウントがなければ新規作成してください)。My accountに入ると、My applicationというページが出てきます。My accountでは、ビザ申請書の新規作成やビザの審査進捗状況の確認などができます。次に、Create a new application in a new group of application をクリックすると、名前や年齢、国籍などを記入するフォームが出てきて、ビザ申請書の新規作成に入っていきます。

またこれらの書類に加えて、申請手数料として99€相当のお金が必要です。 為替レートを考慮した日本円でも表示されます。申請手数料はお釣りが出ないように用意していく必要があります*10*11

レターパックプラス(赤)の準備

書類以外にレターパックプラス(赤)を準備する必要があります。 そのレターパックに入って、パスポートは郵送で返却されます。申請に行った時、レターパックの準備を忘れて、手続きの途中に近所の郵便局に買いに走る人を結構見たので、めちゃくちゃ厳格というわけではないのかもしれませんが、ビザの手続きは1人1人進んでいくようで買いに行っている間は手続きが中断されるので、ちゃんと準備しておくべきだと思います。

その他

生体認証と顔写真

ビザの申請時に生体認証として、両手の指の指紋を全て登録します。特に難しいことはなく、担当者さんの指示に従い、機械に指を当てるだけです。また、顔写真も撮影されます。

ビザ申請に関する時間

大使館には予約時刻の30分前から入ることができました。また予約した時刻よりも遅くなることもあるのかもしれません。私の場合、11時に予約していましたが、人が多かったのか、他の人の手続きに時間がかかったのか、11時30分に順番が回ってきました。

スムーズな手続きのために

前に書いたように、提出する書類は順番に並べていたり、すぐに取り出せるようにクリアファイルなどに整理しておくと良いと思います。なぜそうした方がいいのかはフランス大使館に入る時に気がつくと思います(特に学生さんは)。

うまくいくと

大使館で書類を提出し、ビザの申請が終わると、My accountはこのような状態になります。

大使館で必要書類を提出し終わり、審査中のMy account
"Your application is in progress"ということなので、審査中ということなのでしょう。この画面を見ている期間は落ち着きません(ギリギリだと尚更)。
そして審査が終わると、My accountはこのような状態になります。
「ピザって10回言ってください」「ピザ、ピザ、ビザ、ピザ、ビザ、ビザ、ピザ、ビザ、ビザ、ビザ」
"Your passport is ready to be collected"。この一文が見れた時は本当に安心しました(まだ航空券も取っていなかった渡航予定日10日前)。

終わり

ビザ申請に関する手続きをざっと書きました。私が世間知らずなのもあって、ビザ申請に必要な書類の準備が本当に大変でしたが、色々なことのタイミングを合わせるのが一番大変だったなと思います。これを回避するためには、早くから書類を準備して、準備できた状態で大使館の予約をする。これに尽きると思います*12
またアメリカやイギリスなどに比べると、フランスのビザ申請に関する情報が少ないため、正しそうな情報を収集するのが難しかったです。個人的に在日フランス大使館公式サイトは情報がまとまっていなくて見づらいなと感じました。 ビザに関する情報は、France-Visasの情報をベースにいろんな人の事例を参考にするのが良いのではないかと思います。 雑多かつ書き散らかってしまいましたが、これも1つの事例として誰かの役に立てば幸いです。とはいえ、

🚨前提🚨
ここで書かれている一切の情報は私が調べ、理解し、咀嚼した上で、口語表現されているものです。私の認識が間違っている可能性があります。またビザ関連の手続きは時勢によって変わる場合もあるので、この記事中の全ての情報について、私はその真偽を保証しません。 正しい最新情報は、ビザの手続きに関わる各公式サイトなどから得るようにしてください。

という前提があることをよろしう。
最後に、お世話になった受け入れ先の先生や日本人ポスドクさん、TwitterやSlackの、本当にありがとうございました。

*1:France-Visasに、ビザ申請の際はチェックリストの順番に書類を並べ、チェックリストを一番上に置くように指示されています。私は、ダウンロードし忘れていて、後からもダウンロードできなかったため、焦りました。ただ持っていかなくても何も言われなかったので、もしかすると必須ではないのかも?

*2:学生の留学の場合、Études en Franceという別の公式サイトで登録の手続きが必要だそうです。このPDFが参考になるかもしれません。

*3:"signed by the French administration"というのがいまだによく分かっていないのですが、私の場合、受け入れ先の教員から"Avis favorable sur convention de stage"という書類を送ってもらいました。私の理解では、フランスの当局(地域の行政?)が、私が〇〇でインターンすることを承認する、という効力を持つ書類だと思います。フランス大使館でのビザ申請の際に、担当の方が「この書類があるなら、インターン用ビザだね。」と言いながら、「あなたと同じところにインターンする人が何人かいたけれど、それを持ってなくて困る人もいるんだよね。」と言っていたので、多分大事。

*4:あまりよく分かっていなかったのと心配性を極めた結果、取得したてほやほやでビザが1枚もないパスポートの全ページ(つまり白紙のパスポート)をコピーして持っていき、無事証明写真が載っているページ以外は全て返却されました。笑

*5:この書類を準備するのが一番時間かかりました...。受け入れ機関の人事部に提出後、2週間ほど音沙汰がなく、受け入れ先の先生に確認してもらったところ、「書類の様式が変わったので作り直して」と言われ、署名を集め直し、再提出、その2週間後に契約書完成、という流れでした。オブラートに包んだ言い方をすると、 フランスと日本では、事務のシステムや文化が大きく異なることは理解して動いた方が良いと思いました。

*6:現在、ユーロ表記は行ってないみたいです。

*7:ビザ申請時には入国直後の居場所が証明できたらよいものだと誤解していたので、学生寮の住居証明を求められた時、生きた心地がしませんでした。その日、ビザの書類は受理してもらえましたが、学生寮の住居証明が提出されるまで審査は始まらないとのことでした。

*8:付保証明書、付帯証明書などの表記揺れあり?

*9:これも精神を削った準備の1つです。私の場合、インターンの契約をする段階で海外健康保険の加入証明書が必要だったので、当初の渡航予定(4月頭〜10月末)で保険に加入しました(1回目)。
しかし、脚注4で書いたように事務手続きの関係で予定していたビザの申請が間に合わず、5月中旬の渡航となりました。とはいえ、帰国時期は変わらなかったため、もうすでに加入している保険で滞在期間中はカバーできるし、問題ないか〜〜〜、などと考えていました...が、大使館訪問日の直前に、通常海外健康保険に加入していることを証明するために付帯証明書が必要であることと、付帯証明書は契約書とは別物であることをどこかのサイトかで見つけてしまい、急いで保険会社に連絡。すると、付帯証明書の発行には1週間くらいかかるとのこと。さらに、そもそも今あなたがフランスにいないこと自体が1回目の契約内容と違っていておかしいので、今の保険を一度キャンセルし、再度保険に入り直す必要があると言われ、絶句。急いで保険に入り直し(2回目)、英訳された付帯証明書のPDFを送ってもらうことになりました。結局、ビザ申請の時に、付帯証明書を印刷することはできず。ただダメ元で持っていった契約書を提出したら、なんとかことなきを得ました...(私の保険会社さんは契約書も加入証明書となり得るものでした)。しかし、大使館でのビザ申請日が月曜日であること、東京住みではないので前入りしなければならなかったこと、付帯証明書が必要であることに気がついたのが金曜日の16時であったこと(電話窓口業務は17時まで)、そして土日は保険会社さんが休みで英訳した付帯証明書は最短で月曜日 になってしまうこと、などあまりに全てがギリギリすぎました。

*10:ユーロでも支払えるのかどうかは分かりません。

*11:また、基本的にFrance-Visasで示された金額を用意していけばよいようですが、念の為、細かいお金を持っていっておいた方が吉。

*12:そしてそんなにことはうまく運ばない定期。

植物生理学会に参加してきた話

2023年3月に行われた植物生理学会@仙台に参加してきた。

想像していた以上に楽しい学会だったので、その感想をば。

 

植物生理学会について

日本植物生理学会公式HPによると、

日本植物生理学会 (Japanese Society of Plant Physiologists) は、植物生理学の分野における学術交流を促し、この分野の発展に寄与することを目的として1959年に設立されました。以来、植物と微生物を対象とした生化学、分子生物学、細胞生物学、遺伝学などの関連分野の研究者も参加する “植物の機能に関する科学” の総合学会として発展してきました。

と紹介されています。実際に、今回の学会でも光合成や植物の形態形成、代謝、植物ホルモンなど植物科学(特に生理学)を主に分子生物学的に研究する人たちが多く集まり、上のような研究分野で発表が分類されていました。

今回の学会は、ハイブリッド形式で行われ、ポスター発表はオンライン、口頭発表とシンポジウムはオンサイト(オンライン配信あり)という形式になりました。現地参加者が1000人以上ということもあり、学会の規模の大きさを感じました。

楽しかったところ(研究編)

発表を聞く側として

多様な角度から植物を研究している人たちに出会って、その発表を聞くことが一番楽しかったです。先ほど述べたように、植物生理学会には、植物に関連するさまざまな現象を研究している人がたくさんいます。光合成の分子機構を調べている人もいれば、葉のつき方を調べている人、植物と微生物の相互作用を調べている人もいます。こういう人たちの発表を聞くことで、自分が知らなかった植物の一面を知ることができて勉強になりました。植物の世界に踏み込んでまだ1年くらいの僕にとって、ほとんどの発表が新鮮なことも想像以上に楽しめた理由ではないかと思います。

個人的には、『シングルセル解析は植物科学に何をもたらすのか』というシンポジウムが一番面白かった(ちょっと難しくもあった)。MVS (Most Valuable Symposium) です。

また、"ボク、チョットワカル"的な内容の発表だと他の発表よりも深く理解できるし、たまに質問なんかできたりすると自分の成長を感じました。

発表する側として

今回の学会では、ポスター発表をしました。あまりメジャーな研究ではないにもかかわらず、5, 6人もの人が来てくださり、研究の話をすることができました。素直に嬉しかった...。最初は1人も来ないことを想定していたので、1人来た時はすごく安心しました。

ただ、僕のブレイクアウトルームも含めて、空室のブレイクアウトルームがすごく多かったなような気がしました*1。オンラインという形式上、偶然立ち寄るということが起きにくく、あらかじめ興味のある発表を決めて、そのポスターに突撃するという形にならざるを得ないことや、オンサイトよりも話に途中から入りにくいことを考えると、ある程度仕方ないことなのかもしれません。そう考えると、5, 6人も来てもらえたのは幸運だったかも。

楽しかったところ(交流編)

学会なので、研究発表がすごく面白かったですが、いろんな研究者に会ったり、話したりすることが楽しかったです。

今回の学会では、知り合いを作ることも僕の中で大きな目標でした。しかし、初参加で知り合いほぼゼロの状態では、じっとしていても知り合いはできない...。となると、自分で話しかけに行くしかないわけです。結局、10人くらい(頑張った...!)に話しかけに行きましたが、どの方も無碍にせず、知らない学生と丁寧に話してくれてありがたかったです。

他にも学生とのつながりを少し作ることができたことも収穫のひとつです。

植物生理学会には若手の会があり、若手の会の幹事さんたちが企画してくださった懇親会に参加しました。個人的に、研究生活の深い話はできなかったですが、学位取得後すぐの人たちは他ラボの先輩という距離感で今後のためになる話を聞くことができました*2

学会の懇親会でも他のラボの学生と話すことができました。勉強させてもらったレビューを書かれた人や、去年の東北植物学会で知り合った人と話しました。特に、東北植物学会で会ったことのあった人たちとは、以前よりもよりフランクに友達みたいに話すことができてよかった。そのうちの1人は同じ大学なので、初めてラボ以外で大学の友達ができたような気がします。コロナどかぶり世代としてはいつも以上にうれしい*3

植物生理学会は初参加でしたが、思ったよりも他の研究者の人と接点があるなと感じました。指導教員の友達だったり、共同研究者だったり、近い研究分野で論文やレビューを書かれている人だったり、Twitterでよく見かける人だったり。そういう人たちが、結構そこらへんにいたり、発表したりしているのです。This is 学会。

楽しかったところ(番外編)

懇親会(飲み会)。

指導教員には0次会と2次会にも誘ってもらって、そこでもまた初めましての人たちと飲んで、話して...と、指導教員のおかげでぼっちにならず、しかもたくさんの人と話せて素晴らしい飲み会でした*4

まとめ

初めての植物生理学会は良い思い出ばかりでした。植物生理学会に出ることを勧め、研究やポスター作成をサポートし、懇親会ではいろんな縁を作ってくださった指導教員には感謝しかないです。

また頑張って、どこかの学会に出たいと思います*5

 

【補足】懇親会で「ぼっち」にならない(僕なりの)手札

正直、今回の学会と懇親会では、指導教員の人脈に預かりまくました。もし指導教員がいなかったら、本当の本当に「ぼっち」だったと思います。ただそれ以外にもいくつか「ぼっち」回避策を考えていました。それが次の三つです。

  1. 話したい人の論文やレビューを読んで、話のネタを作る。
  2. 話したい人の発表を聞きにいって、質問を考える("あえて"その場では聞かない)。
  3. 指導教員の名前を積極的に使っていく(最終手段)。

3. 指導教員の名前を積極的に使っていく、は虎の威を借る狐的ムーブですが、第一歩として大切だと思います。ただほとんど使うことはありませんでした。1と2は効果バツグンでした。やっぱり話のネタがあるかどうかはかなり大切。

 

*1:植物生理学会におけるオンサイトでのポスター発表を知らないので、例年との比較ではなく完全な主観。

*2:指導教員の交友関係が広すぎて、大体スッと話に入っていけたのは本当にラッキーだった

*3:2人とも学年的には先輩なので、友達と呼んでいいかは微妙。

*4:0次会にために仙台駅に向かう道中、一緒に行く人がどんどん増えていく様子はさすがに笑った。

*5:次の植物生理学会は神戸らしい。

僕は文章が書けない

5月10日23時59分、学振の学内締切を迎えた。人生で初めて書いた申請書で正直かなり大変だったが、個人的には良い経験を積めたと感じている。学振を書く中でいくつか思うことがあったので書き残しておく。

1. 文章には書き方がある

学振を書く中で文章には書き方があるということを知った。ここで使った「文章」という言葉は正確ではない。正確に言うと、論文やエッセイなど人に正確に理解してもらう必要がある文章のことを指している。私も生まれて今年で25年目。これまでいくつも文章を書いてきたので文章は書ける。しかし今回学振を書く過程で「文章」を書くことができないことを知った。文章を書く中で私が最も理解していなかったことは、段落という概念とは何かということと段落の第一文目の重要性だった。このことを理解するだけで自分の作る段落と文章への捉え方が変わり、まだマシな文章が書けるようになった(ような気がする)。とはいえまだまだ「文章」がうまく書けるようになったとは思わないのでこれからも精進したい。ちなみに、指導してもらっている先生(以下、先生)から紹介してもらったこのサイトを読んで文章の書き方を知ることができた。

 

2. 論文を読む理由

問いは全て研究計画の基盤となり、問いがなければ研究は始まらない。今回私は先生の研究対象に関する先行研究を読んで浮き上がってきた疑問をもとに学振を書いた。当然初手で論文を読んだ。疑問を浮き彫りにするためには既知と未知を整理しなければならないからだ。ただ諸事情*1があって準備期間が短かったので十分に先行研究を読んだかと問われると、私は自信を持ってYesとは言えない。ただ研究テーマを探す過程である著者の論文を2000年代から追って読んでいると、年を経るにつれて少しずつ既知の範囲が広がっていくのを感じた。恥ずかしながらこれまでこういう読み方をしてこなかったこともあって、この体験自体が新鮮に感じられた。このように研究テーマを立ち上げる段階で分野の状況を知るために論文を読まなければいけないことを実感した。次に論文を読むことの必要性を実感したのは実際に中身を書き始めてからだった。自分の立てたテーマを研究する理由や意義、その手法などについて書く時、その根拠が随時必要になり*2、その根拠は論文から引っ張ってこなければならない。このような場面が何度もありその度に検索探すということをしていた。このように論文を読まなければ、今何が分かっていて何が分からないのか、何を研究するのか、なぜ研究するのか、どうやって研究するのかということに答えることができないのである。問いは全て研究計画の基盤となる。故に論文を読まなければならないのである*3。今回学振を書くことによってなぜ論文を読まなければならないかということを実感を伴って理解することができた。

 

3. 学振のすゝめ 

学振を書くということに挑戦して良かったと感じている。1と2で書いたことを感じ学ぶことができたということが価値あることだと思うし、何よりも私は学振作成を通して、研究者になるために必要なこと(研究計画を立て人に伝わる文章を書く)を学ぶことを主目的にしていたので目的を達成できたと思っている。
実は、M1の時から、博士課程に進学するしないに関係なく学振を書くことを決めていた。大学院の入学願書を作ることさえ面倒だと感じてしまう自分が学振を書くことをなぜここまで頑なに決意していたかは今も謎であるが、何か得られるものがあるだろうと感じていたのだろうと思う。そして実際に多くのことを得ることができた。
もし後輩に学振って書いた方が良いんですか?と質問されたら書いた方が良いと言うと思う。学振ハイ*4になっているのかもしれないが、誰にでも正確に伝わる文章の書き方や自分の主張を伝える文章と論理の構成を学ぶ上では絶好の機会である*5。おそらく1回目は失敗して学ぶ回になり、2回目以降からが自分のトレーニングの場になる。もし練習して上に書いたような能力を身につけたいなら「文章」を書く機会は多い方がいい。だから学振という機会は良い機会だと思う。正直自分も先生も疲れるし時間も手間もかかる。一言で言うと、面倒くさい。それでも十分勧めるに値する経験だったと思う。

 

4. 終わりに

学振ハイになっている部分もあるが、以上が素直な感想である。学振を書くことを自分自身決め込んではいたが重ねて薦めてくれた先輩や、GW中にもかかわらず夜中に何度も自分の稚拙な申請書を添削してくださった先生には本当に感謝している。また、ギリギリまで修正していたせいで終電がなくなり歩いて帰ろうとしていたところを、大学の駐車場から出てくる車を呼び止めて下宿の近所まで送ってもらったことも良い思い出になった。送っていただいた先生にも感謝の言葉しかない。
ただ一つ愚痴を言わせてもらいたいこともある。それは学内締切についてである。実は自分の知る限り、学内締切は大学によって異なる。自分の大学はほとんどの大学より2週間早い。また自分の大学より3週間遅い大学もある。自分の知らない事情もあると思うのでこれ以上は何も言えないが、博士学生の生活に関わる学振なのだからそこらへんの条件は整えるべきではないだろうか。主要大学と地方大学における博士進学状況の違いから生じる情報や環境の格差はともかく電子申請なのだから締切は一律にできるのではないかと思う*6

最後が愚痴で終わってしまったが良い経験だった。以上。

*1:現所属は全員が独自のテーマを探し研究するというスタイルを取っており私もM1前期を費やして研究テーマを探し研究した。しかし研究計画の脆さへの不安や因果に踏み込んだ研究がしたいという願望もあってM2から先生の研究テーマを一緒にやらせてもらうことになった。

*2:先生には「本当にそうなの?」というコメントをたくさん入れてもらった。

*3:”巨人の肩の上に立つ”とはまさにこのことなんだろう...。

*4:学振を書き切って一丁前な顔をしている様子。

*5:卒論・修論の作成も同様の機会になるだろうが卒論を書かないところも少なくないと聞くしガチ論文を書く機会がある人はさらに少ないことを考えると多くの人にとって練習する機会は十分ではないと思う。

*6:ちなみにこのことをボスに言ってみると、「締切が遅くなっても結局ギリギリまでやらないで同じ状況になるんじゃないの?締切が分かってるんだからそれまでに準備するのも大切なことだよ。」と言っていた。自分を思うと結局同じ状況になってそうでぐうの音も出なかった...。